・研究内容について
スポーツ心理学の知見から、「メンタルトレーニングの効果をいかに上げるか」について研究しています。具体的には、スキーやスノーボード競技などのスタート時や試合時の心理状態に着目して、新たなメンタルトレーニングプログラムの開発を行っています。アスリートの中には、練習とは異なる環境に身を置かれることで、頭の中が真っ白になってしまう選手などがいます。本システムの導入により、これまでのメンタルトレーニングに加えて、「スタートや試合時の環境」をVRにて再現し、ストレス場面に身を置きながら「プレ・パフォーマンス・ルーティーン」などのメンタルトレーニング技法の確認やトレーニングができます。
・「Omega ウォークビュー」 導入の経緯
スタート時や試合時の緊張状態を再現するには、「メンタルトレーニングを実施する環境(教室や会議室など)と試合時の環境の乖離」という課題を解決する必要がありました。 そこで、VRの技術が活用できないかと考えたのがきっかけです。VRの開発企業を探している中で、ソリッドレイ研究所を知り、本システムの開発を提案・依頼をしました。
・被験者(選手)の反応
世界的にはVRトレーニングの活用事例がありますが、日本ではまだ少なく、新規性がありました。その先駆けとして導入できたことは選手にとっても新鮮で、メリットだったようです。体験した反応、感触も良好でした。
・今後の課題
@
没入感の向上
360°カメラの解像度が足りず、遠くの景色などはやはり現実と見え方が違います。没入感を高めることで、大会に近い緊張感を再現し、ストレスに対する耐性を高めることができると思います。理想は100%の没入感です。
A
上下の動きへの対応
現状は前後に動くことを前提としていますが、アスリートは準備運動で屈伸などをするため、上下の動きにも対応する必要があります。「スタート時や試合時の環境」を再現するには、幅3m×奥行3m×高さ2m程度の空間を動き回れることが理想です。
B
現場レベルでのコンテンツ編集
例えば試合前日に撮影した映像を、すぐにトレーニング現場へ落とし込んで活用するためには、現場の状況(天候、人の数、横断幕など)をその場で簡単に変更、編集できるソフトウェアの開発が望まれます。